電気化学 測定用電極



第5章:参照電極を長持ちさせるためのメンテナンスとチェック方法

5-1 電位のチェックと交換時期:新品と比較する具体的な確認手順

電気化学測定に用いられる参照電極は、安定した電位を示す事が求められる基準電極です。しかし、使用するうちに電極表面の変質や内部への測定サンプル液の侵入などにより徐々に劣化し、当初の電位を保てなくなる事があります。

〇 保管と液絡部の注意点
参照電極の安定性を維持するためには、適切な保管が不可欠です。

  • 洗浄:
    使用後は、蒸留水や使用した有機溶媒で表面に付着したサンプル液を洗い流してください。

  • 保管:
    参照電極先端のイオン透過性ガラスやセラミックの液絡部分(先端のイオン透過性ガラスやセラミックの部分)が乾かないよう、マニュアルに従った保存液に浸けて冷暗所に保管してください。ビー・エー・エスではRE-PV 参照電極保存ビンを販売しています。

  • 液絡部の問題:
    液絡部が乾燥すると、塩の結晶化で破損する恐れがあります。また塩が析出すると、インピーダンスが非常に大きくなり、ポテンショスタットの応答速度が低下し、自動制御系が不安定化したり、ノイズを拾いやすくなったりして電位シフトが起こることがあります。長期間の保管の際は、定期的に保存液を交換し、電位のチェックを行う必要があります。

〇 電位の確認と電極の交換基準

5-2 1本ごとの性能チェック:シリアル番号によるデータ公開システム

ビー・エー・エスでは参照電極1本毎に電位測定を行い、社内基準を満たした電極のみにシリアル番号が付与され、出荷されております。お客様に安心して利用していただく際に最も重要な点は、「正確で信頼性の高い電気化学測定のための、安定した電位基準」が保証されることです。

当社では電極に印字されたシリアル番号から、電極チェック時の測定データを追跡・公開するトレーサビリティシステムが構築されております。参照電極に限らず、弊社で販売している作用電極のほぼすべては、こちらのページから電極チェック時の測定データをご確認頂けます。電極の種類をプルダウンから選んでいただき、製造番号の部分にアルファベット2文字と3ケタの数字を入力してください。


5-3 各参照電極の使用上の注意点

  • 銀/塩化銀参照電極(Ag/AgCl系、RE-1CP, RE-1BP, RE-1B
    主に水系サンプルでの使用を目的としています。1-3章の式1で示した通り、内部液中の塩化物イオン濃度が電位シフトに大きな影響を与えますので、保管液の濃度管理もしっかりと行う必要があります。なお、水系の参照電極は非水溶媒中では使用できません。お勧めは致しませんが、どうしても非水溶媒中で使用する場合は、塩橋を介する必要があります。

  • 水銀系参照電極(RE-2BP, RE-2CP, RE-61AP)
    こちらの電極も主に水系サンプルでの使用を目的としています。水銀と塩化水銀(RE-2BP)や硫酸水銀電極(RE-2CP)、酸化水銀(RE-61AP)からなる電極で、近年は環境汚染の観点から使用機会が減少傾向にあります。ビー・エー・エスでは、電極の容器にポリメチルペンテン樹脂を使用することで、外部からの衝撃に強い商品を販売しています。RE-61APは特に強アルカリで使用する電極で、内部溶液として6 MまでのKOHも使用可能です。溶液(商品には付属しません)を充填して使用してください。充填の際は保護具を着用し、途中に気泡が入らない様に溶液を入れてください。

  • 可逆水素電極(RHE)
    本電極は測定溶液と同じpHの内部溶液を使用する水素電極であり、ネルンストの式に従ってpHが1大きくなるとSHE(標準水素電極)より約59 mV下がるという、他の電極には無い特性がある事に注意しなければなりません。ビー・エー・エスの可逆水素電極(RHE 可逆水素電極)は、一時的に使用可能な水素電極を溜め込む方式となります。使用の都度、マニュアルに従って調製する必要があります。ダブルジャンクションチャンバーキットと併用することにより、酸性被検液だけでなく、中性被検液中の使用も可能です。


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